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光学迷彩による透明マントの実現 [テクノロジー]

もしも透明マントがあったら・・。
昔から物語や映画の世界に登場し架空のアイテムとして扱われていた透明マントが、遂に科学の力で現実のものになりつつあります。
姿を隠して行いたい行為というのは、昔からアニメなどで男性がイタズラするシーンなど良くないことが多いですが、一方では科学の力で実現される透明マントには未来への夢がたくさん詰まってると言われてます。

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透明になって自らの姿を隠したいのはどのようなときでしょうか。ドラえもんやハリーポッターそのほか多くの物語で活躍する透明マント。これに関しては古くは、1200年ころに書かれ、圧倒的人気を誇った「ニーベルンゲンの歌」や関連する作品にも登場してます。
そして2006年ごろから、透明マントが現実になる可能性が示され、いっきに注目が集まってきました。

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理論からいえば『後ろからの光が曲がってモノを迂回すれば モノの後ろの景色を見ることができる。前からの光が反射・散乱されなければ、モノの姿を捉えることはできない』ということです。
あったらいいなと思うすべてのことが科学的研究になるわけではないですが、透明マントという魅力的なものは物語には昔から出てきてはいましたが、現実のものとして科学的に議論されるようになったのはごく最近です。イギリス、インペリアル・カレッジ・ロンドンのジョン. B.ペンドリー教授のグループがメタマテリアルという特殊な物質を研究していて、そのメタマテリアルで透明マントができると発表しました。

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「光学迷彩」が近づいた? 光で縫い上げるメタマテリアル素材

透明マントでモノが見えなくなるその仕組みとは、「なぜモノが見えるのか」を考えるとわかりやすい。“モノが見える”(モノの存在を目で確認できる)原因は、主に2つあります。
1つはモノが、その後ろ側から来る光を遮ること。そしてもう1つは、モノが受けた光を反射・散乱し、その光を私たちの目がとらえることだ。もし、この2つの作用を消すように光をコントロールできれば、モノがそこに存在しないかのように見せることができるということです。

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それを可能にするのがメタマテリアルという存在です。メタマテリアルは、自然界にある物質に、本来の能力を超えるような性質や機能をもたせるように“設計した物質”である。目的の性質や機能に合わせて、物質に非常に小さな構造をつくり込んでいくとのことです。
ペンドリー教授が透明マントの理論を発表した2006年、アメリカ、デューク大学のデイヴィッド・スミス教授とデイヴィッド・シュリグ教授が、可視光より波長の長い「マイクロ波」の領域で、透明マントになるメタマテリアルの開発に成功しました。この透明マントでは、グラスファイバーの上に細い銅線で細かな幾何学的な模様がつくり込まれていて、もしも、このメタマテリアルで雨雲を覆ったとすると、気象レーダーには雨雲が映らなくなるとのことです。なぜなら気象レーダーはモノの検出にマイクロ波を使うからです。

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人間の目に見えないようにするには、可視光領域での透明マントが必要ということです。可視光はマイクロ波と同じ電磁波(電場と磁場の両方をもつ波)しかしながら、マイクロ波に比べて波長がとても短いので操るのが難しい。しかし、その原理はすでに明らかになっています。
光を巧みに迂回させるためには、透明マントの屈折率を絶妙にコントロールする必要があります。中心部の屈折率を低くし、周辺部に近づくにつれ高くしていき、空気と接する境界部では空気と同じ屈折率1.003にするとのことです。屈折率を変えること自体は難しくないみたいですが、それを絶妙にコントールして透明マントにするには、現時点ではあらかじめそのように設計したメタマテリアルを使うしかない状況です。

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また、透明マントは、表面での光の反射をゼロにしなければならないのですが、自然界にはそのような物質は存在していません。そこで、メタマテリアルの登場となりますが、世界で初めて「光をまったく反射しないメタマテリアル」を提案したのは、理化学研究所准主任研究員の田中拓男氏という方です。
ガラスやプラスチックなど母材となる樹脂の中に、金属でできたナノサイズのコイルをあらゆる向きに多数つくり込む。光が通ることによって、コイルに電流が流れる。この電流によってつくられる磁場は、光の磁場に働きかけることができるので、比透磁率が変化する。これを使えば、屈折率の分布を自由に設計することができ、進行方向など、光を自由に操れるようになる。

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自然界には、なぜか光の磁場と関わり合う物質が存在せず、どんな物質の比透磁率も1.0である。ところが、田中氏は比透磁率を1.0より大きくすることで、光をまったく反射しないメタマテリアルをつくれることを見出したということ。田中氏がつくるメタマテリアルは、金属でできたナノサイズのコイルをたくさんつくり込んだ構造体です。デイヴィッド・スミス教授のメタマテリアルと比べて桁違いに小さい構造からできているのは、マイクロ波よりも波長の短い可視光の比誘電率や比透磁率を変えるためです。現在、可視光よりやや波長の長い赤外線領域で機能を発揮するメタマテリアルの開発に取り組んでいらっしゃいます。

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透明マントから広がる未来については、利用できる波長さらに、負の屈折率をもつメタマテリアルを使えば、透明マントにも勝るとも劣らない画期的な製品が実現できる。分子や原子を直接見ることのできる光学顕微鏡だ。私たちは、生きたままの生物の分子や原子の様子を目の当りにすることができるようになる。

メタマテリアルの登場で、今や光学は大きく変わろうとしています。私たちを比透磁率1.0から解放したメタマテリアルの向こうにどんな地平が広がっているのか、それは想像をはるかに超えた世界に違いありません。

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